DUAL LIFE PRESS デュアルライフプレス

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カテゴリ: 野菜直売

【JAを揺さぶる「らでぃっしゅぼーや農業総合サービス事業」】


たいへんご無沙汰してました。
前回のブログからずいぶん時間が経ってしまいましたのぉ。

季節外れの冬眠から覚めたのかどうかは
自分でも定かではありませぬが、
ちょっとずつでも更新していければと
思っておりまする。


さて、話題はといえばTPPに触れずにはおれません。

10日には野田総理がTPP参加を表明するでしょう。

私も震災前までは既得権益打破の
新自由主義に近い考え方を持っていたのですが、
震災を機にずいぶんまわりの風景の見方が
変わってしまいました。

TPPに関しては、関税自主権の問題もありますが、
アメリカのグローバル企業による食糧統制など
問題点が山積みで賛成できるわけがありません。

ここでは詳しく述べませんが
こちらを見てください↓
「サルでもわかるTPP」


地方出身者の多い国会議員や地方議会、
JAはTPP反対派で、私たちの大いなる味方です。

とはいえ、彼らが反対する理由には、
アメリカの統制経済へ
飲みこまれることへの反発ではなく
既得権益の保持という面も
一緒くたにされており、
それとは明確に区別して考えなければなりません。

郵政民営化の時と同じ構図になっています。


このブログで言いたいのは
TPPのような外圧があるにせよ、ないにせよ
日本の農業をどのように変えていくかは
自分たちで決めていくべきだということです。


これからの農業の可能性には
ふたつの大きな流れがあると思っています。

ひとつは付加価値の高い作物を
日本以外の国へ輸出していく。

もうひとつは生産者から消費者へ
安価で安心な作物がダイレクトで届けられる。


高付加価値の作物を輸出するのは
TPP賛成論者と同じスタンスですが
すべての農家が輸出可能な作物を
大量に生産できるわけはありません。
TPP賛成論はここに欺瞞があります。

何軒かの農家が連帯を組んで
法人を立ち上げられればまだいいのですが
大企業を参加させて大規模農場を増やすという流れに
飲みこまれてしまうでしょう。
そのとき小規模農家はひと昔前の
小作人へと成り下がります。

震災に遭った漁業関係者が
漁協を特定企業の傘下にしたくない気持ちは
すごくわかります。

TPPによってアメリカ企業が日本に参入すると
農地や漁場は大きな草刈り場となります。
宮城県知事の村井某なんかは
震災復興の名のもとに
しっぽを振って企業誘致しようとしていますが……。


海外で高く売れる作物だけを作れば
ハッピーになれるわけじゃありません。

ふつうの日本人が毎日食べるものを
生産してくれる農家がいなければ
大手スーパーで格安販売される
輸入された野菜を食べるしか
選択肢がなくなってしまいます。

そこで小規模の、家族経営の農家が
生き残っていくにはどうしたらいいか
ということなのですが、
既存の流通システムを変えていくということしか
今の私には思い浮かばないのです。

この点ではいまTPP反対を叫んでいる
既得権益JA勢力とは真っ向から対立します。


有機・低農薬野菜を宅配する「らでぃっしゅぼーや」
この11月から興味深い取り組みを始めています。

らでぃっしゅぼーやが契約する2600軒の生産者に対して
農業機械のリースや、種苗の購入、
肥料や農業資材の購入をサポートするという取り組みです。

「らでぃっしゅぼーや農業総合サービス事業」

発注数を取りまとめることで、
通常農家がJAから個別に仕入れるよりも
割安で購入したりリースすることができ
農業生産コストを削減することができます。


しかし、このサービスの最大のポイントは
与信にあります。

オリックスとの提携により、
らでぃっしゅぼーやは契約生産者に代わって
リースなどの「与信審査」をバックアップし
農家がお金を借りやすくするというのです。

この与信こそが、従来のJAがもっていた
農家に対しての”強み”でした。

商品を朝JAに納めるだけで
あとは自動的に市場に流れるので
販売金額が決まり、
商品は勝手に流通経路に乗って
あとでお金が口座に振り込まれる。
まとまったお金が必要になる時には
それを担保してくれる。

このサービスはJAの与信に匹敵します。


TPPに加盟しようがしまいが、
日本の農業を存続させるためには
変わっていかざるを得ないのです。

どうせなら「らでぃっしゅぼーや」のような
日本の企業にがんばってほしいんですけどねぇ。


最後に、
改めてTPPには反対!と
宣言しておきます。

島根県吉賀町柿木村。
高津川の源流にあるこの小さな村では
約30年前から村全体で自給自足をベースとした
有機農業に取り組んできました。

自分たちが食べる余剰分を
おすそ分けとして販売する。

グローバルな農業とは対極の
このミニマムな農業が
やたら輝いて見えるのはなぜでしょう。

先日、山形に帰省したときに
知人に農家の米を買ってきてほしかったなあと
言われました。

農家の米とは、農家の人たちが
自家消費用に食べている米のことです。

知人はそれがおいしいことを知っていました。
農薬をほとんど使わず、天日干しにされた米。
現地で食べるとこんなにうまい米があったのかと
びっくりします。
でも、市場には出回らない。
産直の直売所でごくまれに見かけることはあっても
農家が知り合いに販売するだけなので
入手がなかなかむずかしい。

柿木村での取り組みについて、
NPO法人「ゆうきびと」代表の
福原圧史さんのインタビュー
とても参考になります。

有機農業を始めたきっかけは、消費者のためではなく、
農薬をまくことによって自分や家族が
一番影響を受けることを自覚したことにあります。

昭和55年頃、ちょうどオイルショックの後でしたが
高度成長のまっただなかで、
お金儲けではない農業自給力を高める提案を
福原さんはします。

当時はなかなか農家に受け入れてもらえませんでしたが
研修先の事例として、ふたつの選択肢がありました。

ひとつは、米や牛などの伝統的な日本の農業を捨てて
梅や栗など、収益率の高い儲かる農業を目指す。

そしてもうひとつは、生活に必要なほとんどの食物を自給して
余剰分を消費者に供給する。もちろん牛肉や牛乳もです。

柿木村は後者を選択します。

研修先の大分耶馬渓町の下郷農協が
その参考になりました。

ちょうど学校給食にパンや脱脂粉乳が入りだしたころで
開拓農家に多い酪農家は、
なぜ自分のところにおいしい牛乳があるのに
アメリカの豚のえさにするような脱脂粉乳を
子どもに飲ませなければならないのか
と反発したのだそうです。

そこで搾った牛乳を加工して学校に供給を始めた。
でもそれだけでは余ってしまうので、
農協組合員の兄弟や親せきで最寄りの町に住む人を
リストアップして戸別訪問で販売したんですね。

すると、牛乳がきっかけで、米はないか、大根はないかと
だんだん声がかかるようになってきた。
味噌や醤油、豚肉など、下郷農協は自給的な農業だったといいます。

この対象的なふたつの農協を十数人で視察に行き、
どちらを選択するか考えました。

最初は自給で飯が食えるのかと反発していた組合員も
どちらを取るかというと、全員が後者を選んだわけです。
百姓が米や牛を捨てたら百姓じゃないと。

その後、山口県の消費者グループとの出会いがありました。

彼らが望むものは売るための野菜ではなく
農家の人が家族に食べさせる米や野菜でした。

そこで有機農業が手探りの状態から始まるわけです。

買ってくれる消費者も徐々に増え始め、
岩国、徳山、益田と、口コミで広がっていきました。


改めて思うのは、誰でもおいしいものを食べたいわけですね。
でも、市場に出回っているのは、効率的な流通ができる
カタチと見栄えのいいものになる。
しかも、時期によって価格が暴落するときもある。

農家にしてみれば、自給することで
自分たちが食べる分を確保して
余った分を安定的な価格で引き取ってくれる
消費者さえ見つかればそれで十分なわけです。

たしかに収入は多くはないかもしれません。
でも不安定な市場に出すよりも
生産者と消費者がともに満足できる価格で
安定的にやりとりできれば十分に成り立ちます。

インターネットでマッチングが
自由にできる時代になりました。

その一方で市場に頼っていては
おいしくて安全な食糧を
安定した価格で入手することが
次第にむずかしくなっています。

都市と田舎とを
個人ベースのゆるやかな連帯で結んでいく。

その連帯の先に、
お互いが幸せになる
未来へのヒントがあります。



地産地消を積極的に推進する取り組みとして、
地元産の野菜や果物を買うと
ポイントが貯まる「ファーム・マイレージ」という
運動があります。

ファーム・マイレージという
ネーミングがいい。
その名前に惹かれて調べてみました。

佐賀県佐賀市では
市と佐賀市特産物振興協議会が中心となって
平成21年9月から取り組みがスタート。
協力店の直売所やスーパーで買える
佐賀市産の野菜には、金、銀、赤3種類の
「うまさがマーク」が貼ってあります。

金シールは有機栽培で5点、
銀シールは有機栽培、エコ農業で3点
赤シールは慣行栽培で1点と
農法によってポイントが異なります。

このシールを備え付けの台紙に貼って
応募すると抽選で佐賀市の特産品が当たるというもの。

なんか森永チョコボールのおもちゃの缶詰みたい。
絶対に意識してるな。

当初は50点だったのですが、10点に引き下げられたようです。

大阪府東大阪市は平成21年5月より
ファーム・マイレージを提唱した活動をはじめ、
エコマーク48枚を集めると
300円相当の野菜と交換できます。
地場産の野菜を買う=その野菜を栽培する農地を守った
ということで、感謝状ももらえます。

このファームマイレージという言葉は
東大阪市が登録商標をもってるんですかね。
自治体が商標持って囲い込んでどうするんだろ?
ご当地ブランドなら理解できますが、
こういうキャッチーな一般名詞を登録するのは
理解できません。

千葉県山武市は東大阪市にこの使用の許可を取って
活動の普及活動をしています。


応募方法がアナログですが
でも、地産地消が目的なので
各種ポイントカードと提携しても
あまり意味がないんでしょうね。

むしろ、地域性を前面に出していったほうがいい。

佐賀市には「うまさがマーク」と
この活動の幟(のぼり)があり、
このインターフェースというか、
デザインが重要なキーポイントだと思います。

まだまだ発展の可能性はありますね。


やはりというか、ついにというべきか
消費者が農産物の生産を直接オーダーする
取り組みがはじまりました。

運営するのは神奈川県藤沢市のIT企業NAVICOで
その名も「収穫.com」

生産者からいくつかの生産方法を提示してもらい
消費者のオーダーが最低ロットに達したものを
生産してもらうという仕組みです。

たとえば無農薬米といっても
製法(鴨農法、もみ殻農法、人力で草取りする農法)、
肥料(工場の有機肥料、鶏粉、サンゴの粉など)、
銘柄(コシヒカリ、ノトヒカリ、ひとめぼれなど)による違いがあります。

あらかじめHPにこれらを明示した農法が提示され
消費者は選別したうえで予約すると
最終ロットに達した段階で生産に取りかかります。

このサービスは4月20日からはじまったばかりで
まずは能登半島のお米について予約を開始。

28日まで予約を受け付けており、
予約決定後に予約金を支払うと、
田植えが開始されることになっています。

無農薬の農産物は、基本的に農協が取り扱ってくれず
農家にとってこだわりのある生産物は
なかなか取り組みにくいという事情がありました。

この方法によれば
農家が挑戦するリスクを回避して
安定した収入を確保することができ
消費者はあらかじめ決めた価格で
安心・安全な食料を手にできる利点があります。

これまで飲食店向けなど、B to Bでは
こういった取り組みがありましたが
個人向けとしては聞いたことがありません。

この農産物のイージーオーダーは
農業流通に大きな変革をもたらすものと
期待しています。



大根1本100円とすると
農家はいくら儲かるのでしょうか?


風評被害によって一部地域産の
野菜が市場に出回らなくなっているといいます。

でも一方で、都内の産直マルシェやイベントでは
そういった地域の野菜をあえて買っていく
お客さんもいるという報道がされています。


風評被害といいますが、
消費者がそういった野菜を買わない
と決めたわけではありません。

消費者は味や安全性と価格とを天秤にかけるので
価格次第では買う可能性があります。

もちろん価格がいつもと変わらなくとも
検査結果をきちんと掲示したり
有名人や信頼できる人のお墨つきによって
安全だと確認できれば買う。
そんなもんです。


じゃあ、なぜ野菜が流通しないのか。

これは安易に風評被害といってしまうのではなく、
“野菜を流通の過程でストップさせてしまうから”
ということを理解しておいたほうがいいと思います。


昨年、六本木アークヒルズで開催された
「農業ルーキーズクラス第2弾」に参加したとき、
講師の脇坂真吏さんに野菜の流通の話をうかがいました。

脇坂さんは1983年、北海道生まれで
東京農業大学在学中に農家と消費者を直接結ぶ
「野菜ソムリエEf:」を設立したメンバーのひとり。
2009年には「NPO法人農家のこせがれネットワーク」を設立。
ヒルズマルシェの仕掛け人などで注目されている
パワフルな農業コンシェルジュです。


さて、農産物は一般的には次のような流通経路を経て
生産者から消費者へと届けられるといいます。


生産者 → JA → 中央卸売市場 → 仲卸会社 → 販売店 → 生活者


この流通にはいくつかのメリットがあります。
 ・生産者がJAに卸せば販売を考えずに安心して生産に取り組める
 ・市場には全国から野菜が集まり全国へ配送できる
 ・輸送効率がいいので流通コストが安い
 ・近所のスーパーなどで遠隔地の作物が手軽に手に入る


では、生産者が野菜を売りに出すときに、誰がその価格を決めるのでしょうか?



正解は中央卸売市場。

人件費や肥料代などの農家の生産コストにおかまいなく
野菜の値段はそのときの市場で決まります。

だからここで引き取り手がいないと
トマト一箱1円などというバカげた値段がつくわけです。

もちろん市場価格があまりに安いと農家は生活していけません。


そこで農家は、市場価格が高い時期を狙って
同じ品目が大量に出回る「旬」を避けて野菜を出荷します。
寒い時期にビニールハウスで灯油を焚いて
野菜をつくる、なんてことが起きるわけです。

また、おいしいけれども傷みやすい
完熟の時期を待って収穫するのではなく、
日持ちがして流通コストが安くなるよう
同じ大きさ、同じ太さ、同じ長さで
曲がりのない梱包しやすい
見た目のいい野菜を生産するようになります。


ではもし、農家が直接消費者に販売するとどうなるのか。

 ・中間マージンがなくなる
 ・農家が自分で価格を決められるようになる
 ・生産者が自分で消費者のもとに運ぶので流通コストは高くなる
 ・生産のほかに販売の手間がかかる

都内でも農家が直接消費者に販売する様子が
報道されていましたが、
もしこういう「場」を安定的に確保できれば
旬の時期にもっとおいしい野菜が
食べられるようになるのかもしれません。


ちなみに私たちが大根を
スーパーで1本100円で買ったとしたら
生産者にはどのぐらい収入があるのでしょうか。

何段階ぐらいの流通過程を経るかにもよりますが
先ほどの図のように流通した場合、
だいたい53円ぐらいだそうです。

そのうち、種苗代、肥料代、地代、農薬代、機械代などの
生産コストや人件費、販売管理費などを引くと、
手元に残るのは15円ぐらい。


市場でまっとうな価格がつけばいいのですが
消費者が買わないという理由で
卸業者に買い控えられると
すぐに原価割れしてしまいます。

まあ、だから、政策としても
政府は農家の収入保障などを打ち出して
なんとか生産人口が減らないように
努力をしているわけですが……。


でも既存の流通システムに頼り切ってしまったがために
生産者も消費者も望まない味、望まない時期に
望まない価格の野菜しか手にすることができない。


ある特定の地域の野菜がスーパーに並ばないのは
風評被害のせいだけではありません。

これはどこかで根本的な過ちをおかしていることに
そろそろ気づくべきではないでしょうか。


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