いま、このニュースを知って、静かに感動しています。

以前書いた「おむすび通貨」がついに正式に流通することになり
2011年5月24日に販売を開始、6月1日に紙幣が発行されます。

これまでは試験的に援農ボランティアを通じて流通させ、
サービスの対価としてやりとりされていましたが
一般消費者に紙幣を販売して流通させるのは
これがはじめてとなります。


「おむすび通貨」は玄米を担保にした
世界初の米本位制地域通貨です。

通貨単位は「むすび」。
1むすびは低農薬玄米100gまたは有機玄米65g(おむすび1個分)に相当します。

現在、担保となる玄米を生産する提携農家は
愛知県内に8農家あります。

まず、「おむすび通貨」を発行する
任意組合の「物々交換局」が
通貨担保となる低農薬玄米60kgを
2万円+80むすびで購入します。

これは一般的な卸価格よりもはるかに高い金額設定です。
というのは、おむすび通貨の発行の目的が
農家の生産コストに見合うだけの収入を安定的に確保し
耕作放棄地を減らすことにあるからです。

物々交換局は、低農薬玄米10kgに相当する
100むすびセットを定価4500円(税込)で
一般消費者に販売します。

また、通貨の小売価格を抑制するために
紙幣には協賛広告が掲載され、
農家に支払われる玄米代金に
1むすび当たり8円88銭が補填されます。

一方、「おむすび通貨」を使用できる
提携店は円換算レートを
物々交換局と契約して
自由に設定することができます。

使用する際、消費者にとって
1むすびは45円の価値がありますが
提携店は集客効果を見込んで
45円よりも高く設定(平均58円)する傾向があります。

これにより、おむすび通貨は
お得なプレミアムクーポン券としての
価値をもつようになり、
消費者が紙幣を購入する動機となります。

おむすび通貨が流通することは
結果的に低農薬玄米が適正な価格で買い支えられ
耕作放棄地の減少につながるという仕組みになっています。

さらに、このおむすび通貨の特徴のひとつに
使用期限が限られているという点があります。

有効期限は約3年なので、
タンス預金のように貯め込むことができません。

考えてみれば、物々交換を前提とし、
物を担保にした紙幣であれば
その紙幣の流通の回転速度をあげることが、
閉じられた地域経済を
活性化することにつながります。



そもそも銀行が資産家のお金を担保にした「預かり証」に
「利子」をつけて貸すということをはじめたのは
ヨーロッパで17世紀になってからのこと。

しかし、「利子」をつけて返すということは
ある期限までに運用や事業に成功して
お金を増やさなければならないということです。
それに失敗すれば財産を投げ出すことになります。

もし、お金を借りている人が一斉に返済時期を迎えるとして
紙幣の総量が変わらないとしたら
その地域に存在しないはずの「利子」分の紙幣を
どこから捻出すればいいのでしょうか。

方法はふたつ。

紙幣を発行するための
新たな担保となる資源や資産を
どこか他の地域から奪ってくる。

不足する利子分を前借りして返済し、
そのつけを未来にまわす。

経済のグローバル化の本質がここにあります。


いまや紙幣を発行するための
資産や金などの担保すらなく、
「信用」という虚構を前提にして
紙幣の流通量が決められています。

もともと存在しない担保をもとに
レバリッジをかけて大量の資金を運用しているのが
グローバル経済の姿なのです。

利子を支払うための市場競争はとどまることを知りません。

そしてこの競争では、必ず運用の失敗者や
労働力や資源を不当な値段で収奪される弱者を生みます。


グローバル経済の下に組み込まれ
従属する生き方を選択したくないのであれば
そこで使われている紙幣とは別の
経済の輪のなかで生きていけばいい。


「おむすび通貨」にはその可能性があります。

だからこそ、この通貨を大切に
サポートしていかなければならないと思っています。